北星余市応援ラジオ・テキスト3 出口さん編 『なんだ、うちだけじゃないんだ』

テキスト2 からの続き
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藤井 : それでは続いて出口さん、お願いします。

出口 : うちは長男が小学校の入学式のときに下の子が生まれてるんですよ。

藤井 : はい。

出口 : それで長男の入学式にわたし行けなかったんです。

藤井 : うん。

出口 : 別にそれがどうだってわけではないんですけど、小学校のときの長男本人がちょっと多動系の気があったような気がするんです。小学校の担任の先生がこのとき「病気じゃないですか?」っていう、そういう決めつけ方をしていて。

藤井 : うーん。

出口 : それで実際、わたしも不安になって病院に行ったら注意欠陥性多動症の傾向はあるけど、治療は必要ないと。

藤井 : うん。

出口 : 関わり方で経過を診ましょうと。で、小学校のときはミニバスケットを一生懸命取り組んで。でもちょっとやっぱり他の子と一緒に物事をするってのは苦手かなというところはあって。で、バスケットをやりました、中学校も行きました。中学校に行ったら、いま中二病ってありますよね(笑)、1年生くらいから何かおかしいな、この子って思っていたら、学校から連絡が来て「どこそこでタバコ吸ってましたって報告がありました」と言われて、学校に呼び出されて。そして、やれやれ少し落ち着いたかなって思ってた頃に、今度は学校の中でタバコを吸っていたと言われて。学校に両親揃って来てくださいって言われて、校長室で頭下げたりとかそういうことがあったんですけど。それでも本人は学校に行き続けるって言って、市内の区域の公立高校には行ったんですけど、やっぱりどこか落ち着かない部分があり、今度は途中で学校辞めるって言い出したんですよ。「なんで辞めるの?」って聞いても答えず。辞めるって話の前に親子喧嘩もあって、長男が家出しちゃったんですよ。

藤井 : うーん。

出口 : 家出して1週間帰ってこないとか、2週間帰ってこないとかそういうことがあったんですけど、けっきょくそういうことがあると学校にも行きづらくなって、よけい辞めるって気持ちになって、より拍車がかかることになる。夏休み前にそんな話になって。

藤井 : うん。

出口 : 「辞めてどうするの?」って聞いたら、「働く」って言うんだけど。わたしはそれこそ『ヤンキー母校に帰る』(※)ですか、子どもたちが「ヤンぼこ」っていう、その映像を観ていた世代だから、「北星余市に行ってみたら?」ってそのとき何気に言ったんですけど、「いや、オレは絶対学校になんかは行かない、働く」って言って。でもアルバイトっていっても、高校1年の中退だから16歳で働ける場所ってそんなにないし、働けたとしてもアルバイトもなかなか時間が長くできるわけではない。そのうち「バイクに乗りたい」って言ってバイクに目覚めて。それでやっと就職というかバイトに就いて1回目か2回目の給料をもらったくらいのときに「バイクを買う」って言うから、「バイクを買うっていったって免許もないのに何でバイク買うの?」って聞いて。そこは段階を踏まないとマズイんじゃないのっていう話にはなったんだけど、本人は頑として聞かず。

(※ヤンキー母校に帰る:HBCが制作し全国放送した北星余市高校を舞台にしたドキュメンタリー番組とそれをモデルにしたテレビドラマ。2003年制作。北星余市の卒業生であり後に本校教師を2005年まで務めた義家弘介氏がモデル。)

藤井 : うんうん。

出口 : バイクを買うって。なぜかそこでお父さんと話をして、すでに買っちゃていたんですよ。で、わたしはさらに「なんで!?」みたいになって。

藤井 : ははは。

出口 : お父さんとわたしがケンカになり。

國井 : ふふふ。

出口 : 免許を取ってから普通はバイクを買うはずなのに。もうそこでお父さんが容認してしまった感じになっていて、両親の意見が一緒じゃないから子どもが「なんでお父さんはいいって言ってるのに、お前はダメなんだ」みたいな感じで言い合いになったときに、くっそみそにフルボッコにされて、わたしが。もうボッコボコにされたんですよね。「なんでそこまでされなきゃならないの?」って感じだったんだけど。親子関係がそこでぎくしゃくして、上手くいかなくなったのが発端なんです。でも何だかんだいって最終的には免許を取りました。正式にバイクを乗れるようになりました。「気をつけて乗るんだよ」って、そういう感じではいたんですけど、たまにわたしが夜勤から帰ったときに家の近くで車を運転していたら、息子が「ヴゥゥ~ン!」っていなくなるんですよ。それを見て「あぁ息子だぁ・・・」って(笑)。

國井 : わははは。

出口 : すれ違ったけど、すごいスピードでしょみたいな。

藤井 : ははは。

出口 : 「捕まえよう~」みたいな感じに。

國井 : ははは。

出口 : そんな感じで、ツーリングみたいなレベルでなくて、ビューンなんですよ。

藤井 : うーん。

出口 : いつか大きいことやるんじゃないかなって思っていたら、やっぱりやっちゃいまして。

藤井 : うん。

出口 : 市内で何人かと暴走ってわけじゃないけど、警察署の前をくるくるくるくるしたみたいで。

千葉 : ははは。

出口 : 最終的にはもう、補導されて。あのときは本人も反省はしたんですけど、何だかんだいって最終的には、地元にいると地元の友だちとの関係が経ち切れないから、お父さんの方の実家、帯広の向こうに浦幌町ってあるんですけど、そっちの方に行くって言うので、行かせてみました。で、おじいちゃん・おばあちゃんの畑仕事を手伝って、収穫した野菜を道の駅に持っていって、そういうお手伝いをしていた何ヶ月間におじいちゃんとお話したり、お父さんと話したりとかして。そんなときに帯広の北西余市相談会に行ったみたいなんですよね。で、その相談会がきっかけで北星余市に行くっていう決心をしたみたいです。それをわたしたちに相談するときに「お金のことなんだけど・・・」っていう切り出し方をして。

藤井 : うーん。

出口 : 「お金はかかるけれど、オレもう一回学校に行ってみたい」って言うから、本人がそうやって気持ちをリセットできたって言うんで、わたしは舞い上がりまして。

國井 : うん。

出口借金でも何でもするから行きなさいって、みたいな(笑)。

國井 : わはは。

藤井 : ははは。

千葉 : はははは。

出口 : 実際ホントそんな感じで。もう余裕の無い家でしたけど、小出しに小出しにっていう感じで。で、北星余市に入りました。学校に入学したときには自分の同級生が高校を卒業する年齢だったんで。3年ダブって。

藤井 : うん。

出口 : だから18歳。さっき千葉くんが言ったみたいに年下の子と一緒に話をするのに彼はそんなに抵抗がなかったようで、誰とでもオープンに広く浅く付き合うっていうタイプの子だから、誰とでもウェルカムで。全然その辺は苦労しなかったみたいで良かったんですけど。でもやっぱり学校に行ってる間に、またやっちゃいましたねぇ。

藤井 : あらら。

出口 : アルコールで謹慎とか。謹慎の館に入ってって言われても「館は牛くさい」「絶対やだ!」とか言って。けっきょく自宅謹慎。家に戻ってくる。で、謹慎になったときにここの学校の特色なんですけどね、同級生から手紙が来るんですよ。FAXがじゃんじゃんじゃんじゃん来るんですよ。

藤井 : 謹慎中に。

出口 : そう謹慎中に。で、もうひとつ、ハーブもちょっといじったっていうことがあって。それが原因でも謹慎になったんだけど、常習していなくって。ちょっと試しにやってみたみたいな感じでやったんだけど、けっきょく他の常習していた子がいて、そこから芋づる式に。1回でもやったことがある人は謹慎みたいなことになった。それで本人はすごい反省をして、友だちが送った手紙を読み、そこには「お前がやった中で隠したことが悪い」みたいなドギツイことも書いてくるんですけど。

藤井 : うーん。

出口本人はきちんとそれを受け止めながら、自分なりに与えられた課題をやったりとかして、1ヶ月謹慎して。学校に戻って。それからは普通になって、変わりましたね。

藤井 : うーん。

出口 : 親って精一杯なんですよ、学校に行かせてる間は。子どものときは分かんないと思うけど。親っていつ謹慎って言われるかハラハラしていて(笑)。

國井 : はははは。

出口 : あと何だっけ、3月になったらやるもの、課題じゃなくて、何だっけ?・・・そう追試

國井 : 3月になったらやるやつって、全員が全員追試をやるわけじゃないですよ(笑)。

千葉 : ははは。

出口 : ふふふ。うちは毎年追試だったんだけど、また追試?みたいな感じ。でもわりと今回は早く終わりそうみたいな感じで早く帰ってくることもあって、まぁよかったんですけど。卒業するまでホント親はハラハラでしたね。

藤井 : うーん。

出口 : だけど、そこに至るまでが、フルボッコにされたとか、うまく関係がいってなかった時期にはもう「この子と一緒に死んじゃおうかな」と思ったこともあったし。ホントに出口が見えないトンネルの中にいるような状況の中で。でも北星余市で生徒だけじゃなくてPTAのお父さん・お母さんに共感してもらい、いろんな話を聞いて自分も話す、他のお母さんたちの話も聞いて、「なんだ、うちだけじゃないんだ」っていうのが分かった時点で自分の気持ちが吹っ切れて、行きやすい学校になりましたね。

藤井 : うん。

出口今、本人は東京の方で働いてます。元気にやってるみたいです。で、連絡ないのが元気なんだなっていう感じで。

國井 : ははは。

藤井便りがないのが元気の証拠みたいな。

國井 : ふふふ。

藤井 : なるほどー。一応、以上ということでいいですか?

出口 : はい。

藤井 : すごい、ちゃんと最初に想定した時間で話が進んでますね。むしろそれよりもいいペースで進んでまして。

國井 : 素晴らしい。

藤井 : 素晴らしい。ぼくも一度にこんな大人数でラジオ配信するのははじめてだったんですけど、ちょっとなんかいいペースですよ。

國井 : いいペースですか。おー。

藤井 : 謎の嬉しさが込み上げてきてますけど。

國井 : おー、いいですね。

テキスト4 へ続く
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