ひきこモシリフューチャーセッション 参加してきました

10月24日(土)、札幌で開催された『ひきこモシリフューチャーセッション』に参加してきました。
イベント概要については下記の事前告知記事をご覧ください。
https://www.kokanet.org/archives/1095

東京ですでに3年続けている「ひきこもりフューチャーセッション庵(IORI)」のディレクターやファシリテーターの方々が駆けつけての開催ではありましたが、大半を仕切っていたのは主催のレター・ポスト・フレンド相談ネットワークが月一で開催しているひきこもり自助グループ「SANGOの会」のメンバーの皆さん。
ひきこもりとアイヌ語のモシリ(我々の大地の意)をかけたネーミングを付けたのも、外界と壁で隔てた砦にこもって自分たちの未来を考える場をイメージしたイラストを描いたのも、各分科会のファシリテーターを務めたのも、そして本番以上の作業量だったという事前準備を手掛けたのも当事者の皆さんだったとのこと。
運営面では当事者主体色が濃いイベントでした。

運営面では、と書いたのは、参加者の大半が親御さんだったこと。
参加者という枠では当事者性は薄い結果でした。
本来は「未来志向」で、ひきこもりのこれからについて語る形になるわけですが、親御さんの参加が多かったことで、切実さを抱えた個々の相談の場になってしまいフューチャー感が欠ける結果となってしまいました。
これは9月に参加した「不登校相談会」と同じ様相。
ただ、これは第1回であったこと、そして東京と北海道の違いを考慮すれば現状では仕方のないところだとは思います。
最後の振り返りで自分が話したことですが、1回目は上手くいきすぎるより課題が多い方がいい。
親の会も含めた情報が行き届いていない親御さんがかなり存在することが今回のイベントを通して可視化できたわけで、こうして可視化できたのなら「どう情報を行き渡らせるか」を考えるとか、あるいは今回のようなイベントが「孤立している親御さんを発見する」手段になり得ることが分かったということで、今後いろいろと具体的な対応ができるようになったわけです。

後半のテーマは、
・ひきこモシリをつくろう!
・親子のズレを語ろう!
・親亡き後の安心ライフ
・ひきこもり哲学
・フリートーク
・親や支援者の質問にだいたい答えます
・ひきこもりの仕事づくり
・快適なひきこもりLIFEを送るには
というテーマ別に8つのグループに分かれてのトークセッション。
自分の好きなタイミングでグループ間を自由に移動していいという仕組み。
上記のとおり悩みの渦中にある親御さんの参加が多く、この緩いシステムはあまり機能できなかった感じではありましたが、継続して参加者が場に慣れていく中で洗練されていくんじゃないかと思います。

ひとまず今回、札幌で開催されたわけですが、道内各地でもこういう集まりが作られればいいですねという話が最後に出たりもしました。
実際、参加者の中には室蘭の家族会から来た方々もいたようで、さらに次の水曜日に私も含むフリスク検討会のメンバー3名がこの室蘭家族会も参加するらしい室蘭保健所主催の学習会に出席することになってます。
今すぐ胆振エリアでひきこもりフューチャーセッションを行なうことはまだ難しいと思いますが、「種」みたいなものは蒔かれ始めているのでしょうね。

さすがに8つ全てのテーマセッションに参加するのは無理で、3つくらいに参加するのが限界でしたが、その中で個人的に印象深かったものを最後に記しておきます。

全てのひきこもりがそうではありませんが、インターネットを使って情報のインプットを何となく行なっている当事者は多い。
そこに情報のアウトプット力も身に付けて、独自の情報発信メディアを作ってそれを仕事にしてはどうかという意見が出ました。
他にも自身が元々持っている関心を活かして、写真・イラスト・詩といったものを世に出していく。
現にレター・ポスト・フレンドでは当事者が手がけたプラモデルやイラスト、詩などを使った展示会を今年開催しています。
そして何より、この「こどもかけはしネットワーク」が(ひきこもりではありませんが)当事者が作った発信メディアであり、こちらで使われているイラストが小樽文学館で展示されているのは皆さんご存知のとおりです。
すでに可能性の実践は札幌でも苫小牧でも始まっている。

そして東京のフューチャーセッション庵のディレクターである川初さんが話した「ひきこもり当事者は、変な大人と多く接した方がいい」という言葉。
これは、ひきこもりに関わらず「生きづらさ」を感じる全ての人に言えることかもしれません。
「普通」とか「当たり前」とか「常識」という実体のない言葉に絡みとられて「何をやっていいか分からなくなっている」のが生きづらい人たちではないか。
そうしたときに「多くの変な大人」(大人じゃなくてもいいのかもしれませんが)と出会うことで、がんじがらめの状況から解放されていく。
「変な大人は都会には多くいるけど地方には少ないんじゃないか」と川初さんに質問したところ、「地方にも潜在的に変な大人は多くいる」という回答が返ってきました。
変な大人を見つけ出す必要がありそうです(それも「生きづラジオ」でやり始めていますが)。

フューチャーセッションと同じく全国展開が始まっている「ひきこもり大学」が札幌でも開催されます。
名前は『道産こもり179大学in札幌』。
昨年に続いて2回目。11月28日(土)開催とのことです。(藤井)

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