ひきこもり学習会@室蘭

本日、室蘭保健所からの依頼で、当事者の家族・支援者向けの「ひきこもり学習会」に発表者として参加してきました。
フリースクール検討委員会としてではなく、本業の就労支援枠での発表。
わたし(藤井)の他に家守さん、そして元当事者として磯崎さんが同じく発表者として出席しています。

わたしが話したのは、ひきこもり当事者の多くが抱えるメンタリティと心理構造について、そしてそれを踏まえての対応方法の基本的な考え。
続く家守さんからは、就労支援の観点からのひきこもり当事者への応対方法の一例。
最後に磯崎さんから、自身の経験から考えるひきこもりという状態像についての話。
上記発表を受けて、後半は参加者を6つのグループに分けての対話を行ないました。

学習会という名目ではありましたが、やはり渦中の親御さんの参加がぽつぽつとあり、個別相談の形になってしまいました。
ただ、先日のフューチャーセッションが同様だったことをふまえて、今回もそうなるかもしれないことを予想していました。

自分の発表では、ひきこもり状態からの脱却過程には順番と段取りがあること(洞爺湖町の國井さんが勉強会で話した「マズローの5段階欲求説」を交えつつ)、理解ある第三者の存在、同じ困りごとを抱える人どうしの場、所属を越えた対話の場、先行事例からの学び、当事者からの発信、フューチャーセッションやひきこもり大学のような事例といった辺りについて話しました。
とはいえ、それこそ都市部では先行事例として取り組みが始まり、ある程度の実績を出しているものですが、地方で同様のことを行なうのは現状では難しさがあるのは事実。
参加者の表情からは「そうは言っても・・・」的なものが浮かんでいました。
ただ、だからといってこういう話をしてもムダという線引きをしてしまうと、それこそ可能性の芽がつまれてしまうのも、また事実。
ひとまず今回のような対話の場を継続して、その延長上で参加者の理解が進み、先行事例のノウハウを応用し、各地独自の具体的な取り組みへつながることに期待したいところです。
まずは「同じ悩みを持っている人が他にもたくさんいる」ことを理解して、精神的な孤立感を薄めることでしょうか。
9月の不登校相談会でも、先日のフューチャーセッションでも、今回の学習会でも、あまりにも各人に情報が伝わってないことを実感しました。

もうひとつの懸念として、すでに存在する支援体制において、やはり人手不足が目立ってきていて、せっかくの支援システムが機能不全を起こしていることが分かったりしました。
ただ、支援を手厚くするには、やはり当事者を含めて「現場から発信」して「伝えていく」しかないんですよね。

一人語り(モノローグ)から対話(ダイアローグ)へ。
さらに、開かれた対話(オープンダイアローグ)へ、というのが最近のひきこもり支援のキーワードとして挙がっているようです。
生きづラジオ4回目のゲスト杉本さんが出版した本『ひきこもる心のケア』でも取り上げられていましたし、フューチャーセッションの軸のひとつでもあります。
変にキーワード化すると言葉が一人歩きしてしまう危険性もありますが、ただ分かりやすい指標のひとつであるのは確かでしょう。
もちろん個人情報をオープンにはできませんが、ひきこもりの「考え方」、「捉え方」、「解釈の仕方」といったものはオープンな形で共有可能です。
これらが多様な視点で話し合われて、それが共有されることで可能性の幅は広がるのではないかと思います。
そして、これは「不登校」を含めた他の社会的課題にも当てはめられるものではないかと。(藤井)