北海道社会教育フォーラム2015 報告

11月21日(土)、札幌のプラザ星園にて『北海道社会教育フォーラム2015』が開催され、分科会にてフリスク検討委員会の発表を行なってきました。

http://133.50.164.220/?p=368

誰もが安全に・安心して暮らし続けられる地域をつくるには、人と人、人や自然とのつながりが必要。そのようなつながりを生み出す力を育むためには、地域に暮らす人々が学び合い育ち合う実践が大事ではないか。
そういった呼びかけを元に開催されたのが昨年の北海道社会教育フォーラム1回目。そちらには100名を超える参加者があったそうで、「社会教育」をテーマにした実践報告とそれを元にした話し合いの場の必要性が明確となり、今年引き続きの開催へとつながったようです。
その末席に不肖フリスク検討委員会がお呼ばれした形。

私たちが発表したのは第一分科会「育ちあう仕組みをつくる」。
育ちあう仕組みを意識して今まで取り組んできたわけではないですが、約1年続けていると独自のシステムみたいなものは自然に生まれてきます。その辺を素直に話すことにしました。

フリスク検討委員会のこれまでの経緯についてまず話をして、皆さんが今読んでいるこのホームページ「こどもかけはしネットワーク」、「親の会」、「生きづラジオ」、「小樽・イラストレーター作品展」への出展といった当事者と一緒に行なっている取り組みについてをメインに発表しました。
そして全体的なまとめとして、まだまだ力が足りない我々としては、まず「自分たちで出来ることをやっている」、「できないがやる必要があることは、地域からできる人(できないことを補ってくれる人)を見つけて連携している」ことを伝えてみました。
言うなれば現状、これが我々の「育ちあう仕組み・システム」と言えるのではないか的まとめ。

これが、おかげさまで参加者の皆さんから高評価をいただきました。
これまで決して適当に事にあたっていたわけではないですが、絶対的な確信をもっての取り組みだったわけでもなく、手探りでいろいろやってきたというのが本音です。
ただ、この手探りの取り組みに、社会教育の研究者・実践者から最低限のお墨付きをいただけたということになり、見当はずれ・的外れなことをやっていたわけではないという自信は持てました。

特に評価していただいたのが、「こどもかけはしネットワーク」、「生きづラジオ」、「小樽・イラストレーター作品展」といった各取り組みにおける『当事者を交えてのメディア発信』。
これは現段階におけるフリスク検討委員会の強みと言える部分で、ここを今後どうにかして活かしていきたいところです。
今のところ運営面で様々な課題を抱えていて、助成金をもらっているとはいえ、基本手弁当・持ち出しで活動しているというのが実情です。
ここを補う要素としてメディア発信を活用できないかという「検討」がこれから必要になってくるかもしれません。

当然ながら我々以外の社会教育実践発表がたくさんありました。
我々と同じ分科会では、まず一般社団法人AISプランニングから『おとどけアート』という取り組みが発表されました。
札幌市の小学校にアーティストが訪れ、子どもたちや教師と一緒に芸術・創作活動を行なうという試み。
休み時間などにアーティストが楽器を弾きながら、廊下を行進。子どもたちが後からぞろぞろ付いてくると、途中から楽器を持った先生も加わる。
そうして交流を続けていくうちに、体育館でみんなで一緒に楽器を演奏しながら歌ったりすることにつながっていく。
最もユニークなのは、アーティストが「転校生」として学校内に入ってくること。
だから転校生としての自己紹介を最初にするし、在校生と一緒に授業を受けたりもする。
子どもたちは自分と全然異なる外見なのに自分たちと同じ立ち位置にいる人と出会うことで、戸惑いと共通性を同居させるという不思議な体験をすることになります。
これを許容する学校があることが、個人的には何より驚きでした。

続いては、釧路自主夜間中学「くるかい」の発表。
直後に自分の発表を控えていたので、こちらの発表はきちんと聴けなかったのですが(すみません)、学習機会の不足を補う、学習者と支援スタッフとの間に壁のない学びの場、学習支援だけではないレクリエーションの充実、教材の手作りといった、既存の学習支援の隙間を埋めるという意義のある取り組みをされているようです。

分科会の前の全体会で発表された『社会教育どんぶり』(団体名です)の活動もユニークでした。
道内各地の社会教育主事が本業の合間に有志で集まり、社会教育の意義を広め、それに基づいた取り組みを各地に根付かせていく活動をされています。
社会教育主事が各現場で孤独を抱えながら活動しているからこそ、地域という垣根をとびこえて集まり出したという辺りは、本質的にフリスク検討委員会と近いところがあります。

発表者として参加したうえでの参加者の皆さんからのリアクション、他の団体からの発表、その後の懇親会と、全てにおいて発見と新たに考えたいことが多いイベントでした。
新たな繋がりもいろいろ持てましたし、これらを今後どう活用するかで頭をぐるぐるさせることになりそうです。(藤井)

※AISプランニング : http://ais-p.jp/
※釧路自主夜間中学くるかい : http://kurukai08.exblog.jp/
※社会教育どんぶり : http://www.ac.auone-net.jp/~syakyou/
※さっぽろ子育てネットワーク : http://www.sapporo-kosodate.net/